今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

映画『THE LAST SAMURAI』を見た

 今年のお正月映画の中では一番人気のようだが、それはうなづける感じだ。実際、今日、朝一番の上映に行ったが、それでもう満席近いという感じで、次の上映では長蛇の列ができていた。

 侍の生き様を通じて武士道を描いた映画と言ってよい。日本映画でも『壬生義子伝』などの新撰組ものが最近ブームのようだし、映画に限らず新撰組がブームらしいが・・・そのような感じで最近は武士道ブームと言ってよいだろう。アメリカにならって資本主義を推し進めてきた日本において武士道が見直されてきていることもまた、アメリカ発でこのような映画ができてきたことも興味深い。

 資本主義においては自分の利益を最大化するということを主眼に考える(例えば、経済学においては一生懸命微分方程式を駆使して曲線の最大値を求めたりしているではないか)。武士道においては、時に自分の利益とは正反対の自滅とも思える道を選ぶことがある。それは切腹に象徴される。

 この映画の主人公達も、時代の流れに逆らって、自分の思う義を全うしようと突っ走り、そして自滅に向かう。これはアメリカに代表される資本主義の理念とは真っ向に対立する・・にもかかわらずこの映画はハリウッド発だ。

 結局、自分の利益のみを考えてきて、それでも幸せになれないという限界を感じつつ・・・そこでアメリカでも武士道という複雑な、そして神秘的とも言えるテーマに目が向いてきたそういうことではないだろうか。日本人も西欧的個人主義のもと自分の利益のみを追求してきて、でも、子飽食の時代に幸せを見つけられないからこそ、新撰組のような自滅を選んだ美学にあこがれるのではないだろうか。

 いろいろ考えさせられる映画だった。でも、すごくいい。2時間半あまりと長い映画ではあるが、ぜんぜん飽きなかった。一回見てみるといいと思う。