さて、先日は発酵の妙を語った。
スコーンのように発酵過程を経ずに焼き上げると固く焼き締まる性質を持つ小麦粉を、柔らかくするための工夫がイースト菌による発酵の過程で、時間はかかるが柔らかい小麦粉食品たるパンは手間はかかるが美味しい。そんなことを語りたかったのだ。
先日、相模原に美味しい酒饅頭を買いに行って酒饅頭を作ってみようと思ったことも前述の通りだが、その酒饅頭のお店で「今日は膨らまなくて」と気にしていて、それでも十分に美味しかったのだが、どうして膨らまないのか、気温のせいかな等々お店の方がしきりに考えている姿が印象的で、そこで、なるほど酒饅頭は発酵過程が関与していそうだと思った次第。
それで、発酵過程に興味が湧いていた私が、酒饅頭を作ってみようと思ったわけだ。もちろん元より酒饅頭が好きだったことももちろんある。
それで先日作ってみたのは先述の通りだが、やはり、材料の調達とか作る手間の簡単さを重視してレシピを選んだ。というのも、酒粕とかも購入したことがなかったくらいだから、いかんせんそうなる。
ただ、先日初めて作ってみてどこに発酵過程があるのだろうと思った。酒粕に発酵する作用があるのか?
しかし、市販されている酒粕である。泡立ってくるわけでもない。長期常温に置いたりしたらもしかしたら残存菌なりで発酵するかも知れないが、それは腐っているのと同義になろう。
ということで、思った。私が作った酒饅頭は発酵過程を経ていないのではないか。
先日のは、酒粕と小麦粉、砂糖を混ぜて日本酒を少量入れてまとめて、餡こを包んで蒸したもの。重要なことがある。ここにベーキングパウダー(膨らし粉)を入れたことだ。
そうか、発酵過程がないから膨らし粉で膨らましたんだ。
改めて、調べてみた。酒饅頭とは。
なんにしろ、麹の発酵作用によって膨らした小麦粉食品であるということが分かってきた。
そう言えば、ここまで酒饅頭にハマってきて、酒饅頭の名所たる山梨県の上野原市ニモ何度も酒饅頭を食べに行ったくらいなのに・・・気付かぬとは。
上野原市の酒饅頭のパンフを読み返してみたら、米麹で作る発酵食品と書かれていた。
そうか、パンはイースト菌による発酵。イースト菌、そもそもカタカタ表記であるしいかにも西洋的だ。日本でも小麦を柔らかく食べたい、となると、麹か。日本の発酵食品のタネの代表格ではないか、漢字表記だし。
そうか、では私は発酵に興味を持って酒饅頭に至ったとは言え、今回作った酒饅頭は発酵食品ではなく、お酒の風味の付いたお饅頭ということになろう。
酒饅頭の定義によろうか。古来の麹で発酵させてふっくらさせる製法のもののみを酒饅頭と呼ぶ、狭義の定義であれば私が今回作った酒饅頭はそれとは言えぬ。
しかし、お酒の風味の付いた饅頭を酒饅頭と定義するとなれば私が作ったのも酒饅頭と言えよう。
大手製パンメーカーも酒饅頭を作っていてスーパーやコンビニに並んではいるが、麹を使っているのだろうか。
少なくとも私が買いに行った相模原の酒饅頭屋さんは古来の狭義の定義に沿った麹を使った酒饅頭だったのだろう。
嗚呼、きわめてバイオロジカルな話だな。私は理科的な話は、フィジカルとケミカルを知っていればバイオロジカルな話はその組み合わせで理解できると思ってきて、きちんとバイオロジカルなことを修めては来なかったが、年を取って発酵とか手間のかかることが面白く思えてくると、バイオロジカルなことも勉強していくべきかと思わぬでもなくなったよ。
今度、どっかで麹を手に入れて、和式な発酵過程を試してみるか。

前回見栄えがうまくできなかったが、もう一回同じ製法で作ってみた。慣れたせいか、全然形はよくなった。発酵過程は経ないので、狭義の意味での酒饅頭ではなく、酒風味のお饅頭、広義の意味での酒饅頭ではあるが、美味いことは美味い。