今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

「蹴りたい背中」を読了

 本当に最近、小説を読まなくなった。

 それは、やはり、こういう文章書きにしてはまずかろうし・・余裕のない証拠だということで、小説を最近努めて読むように心がけ始めたわけだ。ゴールデンウィークくらいからね。

 ということで、かの、19歳で芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」(綿矢りさ)を仕入れてきて読んじゃったわけで。

 でも、実はこの本、読むのにとても逡巡があったのだ。

 なぜかって?

 要は、こんな若くして才能を開花させた作者のなんて読みたくないという意地もあった。

 率直に表現するなら・・・

 なるほど、19歳で芥川賞・・・すごいね。早稲田大学?ふーん、19歳ということは現役かな・・・だからなによ、早稲田なんぼのもんよという感じ。かわいい?ふーん、たしかにかわいいね、でもかわいいだけじゃ世の中渡っていけねーよ

 持てない者が持てる者をひがむ感じである。

 いや、がんばってがんばって浪人して、まぁ、これぞという大学に入って、いろいろやってきて努力もしてきたけど、いまいち焦点絞りきれずに三十路を迎えてしまって・・・まぁ、やっているとなればこのようなウェブページがライフワークという男からは、そう、率直に負の部分だけ拡大すると上記のような思いが確かにあった。どっちかといえば、今の自分の背中を蹴りたいくらいだから「蹴りたい背中」なんて悠長な本は読みたくないとも思った。

 でも、まぁ、せっかく小説を読む気になったのだから・・・読みたいのだから素直に読んでみようと買ったのが昨日。

 読み終わったのが今日。

 本当に面白かった。というか、私自身がやはり、その本の主人公たちの年代(高校時代)に煩悶していたことにかなり近似してたようだし、その意味ではとてものめりこめた。なんというのか・・・見事というほかはない。

 やはり、この 綿矢りさ かわいいだけではなかったんだねって思わされた。脱帽という感じである。

 この小説・・・若者たちにばか売れしているらしい。

 ケータイになんぼ知り合いの番号を集めて、表面的には友達が多いようでも、実はさびしい・・・そういう若者が多いからこそ、この本が共感を呼ぶのだろう。

 で、芥川賞二作のうちで、どうしてこっちを選んだかって?やっぱ、綿矢さんがかわいかったからだろうね(^-^)というのと、「蹴りたい背中」ってタイトルも気になったしね。

 オススメ。