今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

女王蜂化社会


 電車に乗ってお出かけした時の話だ。

 高校生カップルがいたんだけどね、どうにもそのいちゃつき具合がかなり激しい感じであった。

 まぁ、そこまでであればよくある光景なのかもしれないしとりたてて目くじらたてるほどのことでもないかもしれない。

 一緒にひとつのアイポッドを聴き、あからさまに男子が女子の肩に頭をもたせかけて寝ていたとしても、隣の人はちょっと気まずそうで落ち着かない様子であったとしても、お向かいの私はそこまで気にするほどではないのだろう。

 ただ、彼らが降りたときにおいおいと突っ込まざるを得ない感情に突き動かされた。

 そう、男子が女子の鞄も持って、そう、鞄を二つ持ってさっそうと降りていく女子の後に付き従ったのだ。

 そう、その男子は見かけなよっとした感じの、言っていれば、今時の男性アイドルたちのような感じか。

 やさしいのはいい。でも、そこまで鞄持ちをするのかとちょっとびっくりした次第。

 落ち着いて振り返ってみたら、肩を貸していたのも女子の方で、もう一つ思い出してみると、女子がほっぺをつきだし気味で、男子がそこにチューをしていたりしたのも見ていた。

 そう、男性の夢想を具現化したのがメイドカフェであるのに比して、女性の夢想を具現化したそれは執事カフェであることを思えば、彼はさしずめ執事的役割だったのだろうか。

 まぁ、古いタイプの人間である私は、妻と買い物に行き、買い物袋はおおむね私が持ったりしているが、その尽くし方は理解に苦しむ。


 そのとき、私の頭をよぎったワードがある。女王蜂 である。


 最近の女性たちは女王蜂化してきているんじゃないかとふと思った。


 というのも、所用を済ませて帰り、重い荷物を引き取った私は駅に降りるため、明らかに重いものなのでエレベーターを待ったわけだが、エレベーターに乗り込んだところ後ろからやはり大きな荷物を転がして来た女性が乗ってきた。私と同じくらいの年の頃かな。

 私の方が奥に入ってしまったし、当然、後から来た女性がドアを閉めると思っていたら、なかなか閉めないわけで、そして、しばらく後にその女性は閉めるボタンを押した、ちょっといらだったかのように。まるで、私の方が押して当然かのように思えているようにも見えた。


 やはり同じワードが頭をよぎった。女王蜂。


 ある調査で、女性が結婚相手に求める年収は700万円以上という結果が出たというのを読んだことがある。

 なるほど、この不況の世の中、全く働かず、専業で子供を二人でも持とうとすれば年収700万円は確かに最低限必要だろう。でも、どこに20代や30代前半で700万円以上の年収を得られようか。どんなにいい大学を出たってそうはいかないものだ。ごくわずかな成功した起業家や、富裕層の師弟のみがなし得る技ではなかろうか。

 自分を振り返ってみても、700万ですかぁ・・・とため息しか出ない。そう、貧乏話ばかりしてきているよね、ここでも。

 まぁ、希望は希望だからいいのだろうが・・・その時も、同じワードが頭をよぎった気がする。女王蜂。


 不況で世相が厳しくなってくるにつれて、女性が女王蜂化してきている傾向があるんじゃないかとか思わないでもないわけで。