今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

映画「大いなる陰謀」を見た


 映画「大いなる陰謀」( - goo 映画)を見たのだ。


 かなり久々の劇場での映画鑑賞であった。妻が夜出かけていることから、一人時間があったため。また、この映画、前売り券を買っていたが・・・大々的に上映されているのは今日までのようであったため、あわてて見たという次第でもある。


 まぁ・・・この映画、平和論としては非常に意義深いものであった。ただ、映画論として、映画が面白いかと言われれば・・・正直微妙である。


(以下ネタばれあり)


 アメリカの映画人であるロバート・レッドフォードアメリカの戦争拡大路線に疑問を呈する主張を入れたこの映画、その主張としてはとても見るべきものがある。アメリカの「内」からこのような平和への主張が出るというのは、平和論的にはとても意義があるからだ。戦後平和主義を貫いてきた日本でさえ憲法9条さえ変えようという対米追従路線の声さえ出つつある昨今、そのアメリカの「内」から戦争への疑問がこのように明確に出るのはとても意義深い。その意味ではこの映画はすばらしい。


 ただし・・・映画論的にはちょっと・・・。


 映像もきれいだし、トム・クルーズメリル・ストリープ、そして、ロバート・レッドフォードとビッグネームを連ねた演技には迫力があるものの、1時間半ちょっとという短さのストーリーの中で、どうも結論がぱっとしない。大きなテーマを扱っているだけに、そのストーリーの短さにはやや物足りなさを覚えざるを得ないのだ。


 微妙なテーマだからこそ、結論が出しにくいという事情も分かるが・・・観客の想像にあまりに多くをゆだねすぎると、ちょっと観客としては、物足りなさという不満しか残らないのではないだろうか。


 だから、大きなテーマで、重要なテーマだからこそ、もっと掘り下げて・・・作って欲しかったと思ってしまう。


 戦争のむなしさを描くのはいいと思うのだ。かの「プライベート・ライアン」にしても、「シンドラーのリスト」にしても、また、「硫黄島からの手紙」にしても大きな反戦というテーマを掲げながら、だからこそ、かなりの長編にもなっているし、ある一定の結論を出しながら終えている。


 だから、この映画は、このように大きな重要なテーマを扱うものとしてはちょっと時間が短いという部分は感じた。


 とても、すばらしいテーマの映画なだけに惜しいと思った次第。平和論を考える意味では一度見ておいても損はないが、映画として観に行くと物足りなさが残るかもというところ。