今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

"自分の庭"理論は領土問題においては非常に危ない

 尖閣諸島の領土問題が非常に"とがった"感じで報道されているし、現実、国民の関心も高いように思え、その反映とも思えるわけだが。

 だから、色々な意味で"とがった"感じの先鋭的な論調が目立ってきているが、危険なことだなぁと思う。

 しかし、尖閣諸島に公船が入ってきたことに関し、自分の庭に入ってきたものは追っ払えばよいという主張にはとても危険だと思う。

 ある場所をどっちのものかと争う領土争いにおいて、一方が自分のものだというイデオロギーを持ち、その信念から自分の庭から追い払うということをしたとしたら、それは戦争の始まりになってしまうから。

 こういう思いを持ったきっかけは、石原都知事の発言を聞いたから。

「石原都知事「追っ払えばいい」」 News i - TBSの動画ニュースサイト

 当の石原都知事尖閣購入計画を打ち出したことに端を発した、尖閣国有化により、始まった今回の騒動。火種はくすぶっていたにしろ、端はそこにあるのは明白。

 中国が公船(漁業監視船)が、尖閣諸島付近に来た時に、海上保安庁の巡視艇が並走し領海外に出るまで見守ったということを受けて、そのような発言が出たようであったが・・・それに違和感を感じたから。

 領海含め領域領土問題において、追っ払うというのは武力の行使を伴う。体当たりもひとつの実力行使だし、それが、かの第一次大戦を引き起こしたサラエボ事件での暗殺の銃弾にならないとも限らないのだから。
 ご存じの方も多いだろう、サラエボ事件での暗殺が、多大な命の犠牲を伴う長期戦の端緒であったわけだから。サラエボでの暗殺は、その地域の領土争いであったが、それにとどまらなかったわけだから、尖閣での争いが世界を巻き込む可能性もあるのではないか。その意味での危機感は深い。

 でも、実質的な軍事力たる海上自衛隊の船ではなく、海上保安庁の船であることに少しくホッとしている。載せていても機関銃という警察力の限界であるところだからだ。また、中国側の船も漁業監視船というところがまた少しくホッとしている。中国は正式に軍隊を持っている国であるからして、軍艦が来たとしたら、戦争ではないか。

 だから、石原都知事の言うところは、"自分の庭"理論とでも命名して良いところだと思うが、これは領土問題では非常に危ない概念だ。

 だからこそ、海保の船と、中国の漁業監視船の並走という均衡点がぎりぎりのところであるからして、それを批判してはならないと思う。

 そう、戦争という殺し合いをしないためには。そして、それが一番求められることだから。

今回の騒動は、中国側の国内の経済的格差などでの中国国民の不満が原動力にある事は明白に思える。

NHKが明快に分析しているが・・・

NHK NEWS WEB “引くに引けない”中国の事情

 "自分の庭"理論は領土問題においては非常に危ない。

 人の殺し合いたる戦争に傾くのだけは、絶対に避けたいところである。

 日本国憲法により、武力の行使が禁じられている、その大きさを感じざるを得ない。