今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

愛のジレンマとも言うべきか

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 僕はこんな画面とにらめっこしているだけの方がよかったのかもしれない・・・害がなくて・・・

 そんなことを思い続け、自分自身が最低な男だと思い続けながら病院から帰ってきた。

 この画面はホームページを作る人なら誰でもすぐに分かるであろう。FTPソフトである。僕にとっては必需品のソフト・・・FFFTP。彼女が出来る前、対人関係に難あり、たいして遊び友達もいなかった中で、ひとり興味を持ってのめりこんでいたホームページ作成。暗い趣味だと自分でも思う。でも、決定的なダメージを受けると僕はいつもパソコンの前でうずもれる。数年前の大失恋をいやしてくれたのはアキバのジャンク街であった。暗い男である・・今だってパソコンの前でうずもれている。

 今日は、というより、今現在進行形で、僕はやっぱりダメな男だな。人を愛してその全てをシェアするなんて出来る人間ではないんだろうな・・・自分の醜いエゴを目の当たりにして・・・自己嫌悪の極致である。

 昨日の入院時点で、ある程度病状の説明は受けた。しかし、決定的なことまでは踏み込まなかった。踏み込みたくなかった気持ちがないと言ったらウソになろう。聞きたくないこともある。
 明日の検査で全てが分かるという今日・・・家族を含めての重要事項の説明があった。明日の検査を待たずしてある程度今後も分かるようであったので、踏み込んで聞いてみた。今後彼女がどうなるのか・・・

 聞きたくなかった予想通りの話であった。一生付き合う病気であること。今後の二人の結婚生活に大きな影響を及ぼす病気であること。

 この話を聞く前に、彼女の親御さんからすまないと言われつつ尋ねられた・・・二人の関係は今後どうしていくのか?・・・僕は、いったん決めたからには続けていく、彼女とやっていくと伝えた。

 そういう決意を述べながらも、やはり医師からの話にはずどーんときてしまった・・・昨日までの僕であれば、ハイテンションであったから、大丈夫だったかもしれない。しかし、今日は健康診断で血を抜かれたからかな・・・いや、仕事がすごく立て込んで疲れたからかな・・・。とにかく、ずどーんときてしまった。きてしまった後に、そんな分かっていたことが分かっただけなのに狼狽している自分が情けなくなった。この前の語りで、彼女のために生きるなんて言い切っていた自分はどこに行った・・・。

 中途半端に関わるんだったら、お前なんか彼女にとって足手まといだという思いが自分を責める。しかし、ずどーんとめげてしまっている自分が現実にある。
 まったくだらしなくできたものだ・・・明日は重要な検査、彼女を励まさねばならないのに、逆に・・・こんな俺って・・・ほんと、彼女にとっていいのか・・・パソコンの方がお似合いではないか・・・中途半端に関わるくらいだったら・・・

 彼女の親御さんが帰って、彼女と二人になって・・・「ごめん・・・」、彼女の病気が分かって以来で今日初めて泣いた。あまりにもふがいない自分に情けなかったから。彼女はこんな僕でもいいとのこと・・・天使のような彼女である、決して彼女は離してはならないと分かった。
 そうだ、そんな弱さ含めて僕を愛してくれたから僕も愛するようになったんだ。そんな初心を思い出した。

 精神的には彼女の方がよほど強い。肉体的には僕の方が強い(と言いつつ。僕も軽めだが一生付き合わなければならない疾患を抱えているのは同様なのだが)。相互補完的である。だから、精神的にはこんなに情けない僕だが彼女のために動くことはなんぼでもできるはずだ。その点で僕にしかできないことだってあるはずではないか。

 病院内で話しながらも色々考えて狼狽していたと思えば、コロッと回復してみたりする僕を見て「振幅が激しく、多面体みたいだね、あなたは♪」と笑う彼女を見て絶対離せない存在だと確信できている・・・だからこそ、彼女の病状を思うと苦しんでしまうのだが・・・ジレンマである。