今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

そんなに休みが取れないからなぁ〜サラリーマン百景〜


ANAのエコ割というのがよくCM等で宣伝されている。


ANA Fan-CM


で、そのCMの数々が見られる。


 国際線エコノミークラスの割引プランのようで、海外に安く飛べるという売り。


 おおむね「行っちゃった方が早いんじゃない?」というテーマでまとめているものが多い。


 確かに、経済的には、今の一般的なサラリーマンが海外に行くには負担できない額ではなくなったと思う。ロサンゼルスに行くのに往復6万2千円、ロンドンに行くのに往復8万円・・・etc.。私の初任給一回分でも行けるだろう位の額。経済的には敷居はずいぶん下がった。


 なるほど、そこから見れば・・・「行っちゃった方が早いんじゃない?」は成立するのだが・・・ことはそんなに簡単じゃないのだ。


 そもそも休みが取れない。


 いや、制度的には取っていいことにはなっているだろう。労働基準法tけいにも採用後、6ヶ月間を8割以上の出勤率で勤務したものには年10日間の有給休暇を与えなければならないとなっているが・・・社会人の皆さんはよくおわかりだと思うが、なかなか取れるものじゃない。


 先日、新聞記事で・・・夏休みとして連続休暇を取って、その後に仕事がたまってしまうことを思えば、連続休暇は取らない方が気が楽だと思っている人が多くいるということが記事になっていた。


 東京都労働局の調査(夏には連続休暇「ほっとWEEK」を(−今年の夏休みは平均5.7日−) - 東京労働局)によっても、なかなかに海外に行くほどの休みは取れていないことがわかる。夏休み取得日数の平均は5.7日ではあるが、これは連続して取ることを仮定していないわけであるから・・・国外に行くにはきついだろう。


 前述の調査で、有給休暇を消滅させてしまう理由として40歳代までは「仕事量が変わらないので休むと後で苦しくなる」がトップになっているが、なるほどと思えることだ。


 また、日本の社会全体の風潮として、長期の休暇、それで海外旅行ということには風あたりがまだまだ強い気がする。


 今は亡き、宮本 政於氏がその著書「お役所の掟」講談社)で分析したように、霞ヶ関の官僚の世界での海外旅行への妬みの意識の存在は、氏の後著で指摘しているように日本人の精神構造の問題でもあると普遍化して指摘しているが・・・やはり海外旅行という派手な行為と妬みという存在が長期休暇の取りにくさと相まって、非常に複雑な問題になって横たわっているんじゃないかと感じるわけだ。


 私も先日、佐渡・新潟の新婚旅行として、5日間に渡り、土日含めて計9日になる長期休暇を、今の職場領域に入って10年選手手前のところで取らせて頂いたが・・・本当に「清水の舞台から飛び降りる」覚悟を心理的には持った。


 ANA「行っちゃった方が早いんじゃない?」という軽妙なキャッチコピーを聞いたり見たりするたびに、複雑な心境になってしまうのだ。そんなに簡単にはいかないんだよ・・・と。


 もちろん、ANAもそのへんはよくわかっていてあえて軽妙なキャッチコピーで、その複雑な問題をかる〜くパスしようとしているのは分かるので、すごく頭のいいCMだなとは感じる。


 そんな感じで、人生詰めずに軽妙に渡っていきたいものであるが(^-^)・・・なかなかねぇ。