誰にも聞かれていないが告白すると、僕のカラオケでの十八番のひとつは「あずさ2号」だ。
ペシミスト(悲観主義者)の僕にとって、あの歌のみょーな湿っぽさが悲壮感がとてもとてもフィットしてくるので歌っていて気持ちがいいのだ。
狩人という男性2人組が、女心を歌い上げているというちょっとした対称があるし、現代の交通機関の発達においては、新宿から特急あずさに乗って旅立つことが愛する男との決別を意味する旅立ちというのは、いささかクラシカルに過ぎる嫌いもあろう。
しかし、この「あずさ2号」は大ヒットした曲であるし、今もって歌い継がれている名曲である。それによって中央本線を大都会東京から信濃路へひた走る特急「あずさ」は別れを連想させる列車のイメージがついたかもしれないし、少なくとも僕にとっては別れをイメージさせる列車だ。
そんな別れをイメージさせる列車「あずさ3号」(東京・新宿から下る列車は今では奇数号車しかないのだ・・・だから1970年代初頭のダイヤ改正以前に走っていた下りの「あずさ2号」というのは今やまぼろしなのである)に乗って山梨の友人の結婚式に駆けつけた。
別れの列車で結ばれる式へ。これまた対称でいとをかしと感じたり。
その結婚式はとてもいいものであった。
今回結婚した友人は高校・大学と一緒だった希有の友であり、お互い社会人になってからも、そう、住む場所がずいぶん離れてしまってからも、一緒に遊んだりしてきたし、山梨の彼の家によく泊めてもらったものだ。そんな大事な友人。だから、素直に祝福したい気持ちであったのだ、だからこそすごくいいものに感じられた。数多くは結婚式に呼ばれたことはない私だが、お義理で呼ばれる結婚式ではこのような感想は持てない。
友人代表みたいな形でスピーチをさせてもらったが、どうやら喜んでもらえたようなので何より。この前の金曜日に夜更かしして原稿を推敲しておいた甲斐があったというものだ。
私もせっかく山梨まで出張るのにただで帰ってきてはもったいないなと思っていたので、スピーチさせてもらえて満足。
僕はペシミストだと語ったが、ペシミストだと他人の幸せを素直には喜べなかったりするひねくれが出がち(実際30過ぎてシングルな人にとって他人の結婚はなかなかうらやましいものだ)だが、その友人自身とても素直な人間なので、先に言ったように素直に喜べる感じであり、それが率直にスピーチに出せたのがよかったのかもしれない・・・文章技巧以前に。
そんないい結婚式に出て、やはり、幸せそうだな・・・そして、こういう結婚式において男は一人前に認められるんだなって思った。僕も結婚したいなってマジで思ってみたんだが・・・。
頭の中で、自分の結婚式をシュミレーションしてみて・・・でも、たいした人間じゃない気がしてみたりしてそのへんは複雑。きちんと学校を出て苦しみながらもきちんと継続して仕事をしてきている点は評価されてもいいだろう・・しかし、それ以上になんかあるだろうか。多くの友人に囲まれていたという思い出はないし、人気者であったということもないしね・・・そのへんにおいてすくすく育ってきたかというと別にそうでもないし・・・ここ数年のライフワークはホームページ作成とかだが・・・ホームページ作成にいそしみって・・どうだろう?テーマ的にビミョーだ。最近よく運動をしているが・・・それがひとついいことになるのか??
あまりにもいい式だったので、自分の結婚式も持ちたくなってしまったところで、ペシミスティックな思考循環も引き起こしてしまったのだが、そんなひねくれを吹き飛ばしてくれるいい式だったことは事実。
僕もがんばっていい男になって、いつかは相手を見つけて式を挙げようと思う。
そんな風に思っていたら披露宴でのシャンパンがやたら美味しくいささか痛飲。
今日は石和温泉泊まり。ゴロゴロ。