今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

弱いからこそ、情けないからこそ、いとおしいという感情


 さて、昨日、一昨日と天王山と言われた優勝をかけた伝統の阪神-巨人戦で阪神が巨人に三連敗して、とうとう追いつかれてしまっていた。


 そう、私は実は阪神ファンなのである。今日の一語り: 阪神タイガース アーカイブにまとめられているように時折阪神タイガースへの愛情をここでも垣間見せているわけだが、本当に垣間見せる程度である。


 そう、あまりプロ野球は熱心に見る方ではないのだ。野球自身そこれほど観るのは好きでもない部分がある。昔、娯楽のない時代、それこそ夕食後のテレビが最高の娯楽という時はビール片手にプロ野球というスタイルがザ・オヤジスタイルとも言うべき中年男性の典型的娯楽だった頃はプロ野球の人気はもっとあったし、わたしもはまったんだろうが、幼い頃にくらべ娯楽が増え、インターネットなどで家にいながらにしていろいろ楽しめる時代になった今、プロ野球にかじりつく必要がなくなった部分もある。そう、野球観戦で2時間も3時間も費やす暇がなくなった面もあってね。勉強したりさ、本を読んだり、そして、このようにブログを書いたり。映画を見るのも好きだしね。となると、プロ野球は結果が分かればいいかと。


 ただ、昨日一昨日の土日は、試合中継に注目してみた。そう、首位を独走していた阪神が巨人に追いつかれそうで、連敗したら追いつかれてしまうという大一番だったため。


 まぁ、試合前からかじりつくことはなかったのだけど、夜に、あ、やっているなと見たらさ・・・土曜日なんてもう大差で負けていて、これでは逆転できないなというくらいの差で一編に見る気を失い案の定負け。昨日の日曜日は序盤2点勝っていたと思ったら、ちょっと目を離したすきに逆転されて大差をつけられてしまってね、こりゃ負けだと見る気が失せる。案の定負け。これで、阪神は巨人に追いつかれてしまったわけで。


 普通ならさ、ここまで弱いと愛想つかしたり、弱くなったチームだと嫌いになったりっていうことになるよね。ひいきのチームが勝ってこそ、すかっとするわけだし、それを求めてスポーツ観戦ってしたりするものだよね。


 でもね・・・意外に、私のような昔からの阪神ファンはそういうのには慣れている。というか、逆にそこまで情けないからこそいとおしささえ感じてしまう。


 だって、僕が阪神ファン全盛だった幼き頃、そう25年前とかなわけだけど、5位や6位を低迷していたわけだよね。もちろん、周りは巨人ファンだらけだよね。東京出身の僕だもの。何を好きこのんで阪神なの?という感じだよね。でも、それこそ小学校時代はずーっと阪神帽をかぶって過ごしたわけよ。巨人が何で人気があるかって?そりゃ強いからだよね。その昔、私が生まれる前だけど、子どもたちの好きなものの代表として、「巨人・大鵬・卵焼き」なんて言われてたわけだよね。卵焼きはいざ知らず、プロ野球の巨人とお相撲の大鵬はなぜ好かれたかって、そりゃ強いからだよね、これは明らか。だけど、僕はどうも巨人は好きではないし、阪神ファンはどうも巨人を好きになれない部分があるのは一般的だ。阪神ファンアンチ巨人という構図は今でも健在だろう。ついでに私は卵焼きも大して好きではない、いや、今日の妻の作ってくれた弁当には入っていたけれど。そして、それは美味しく頂いたけれども、大好きというものではない。


 ちなみに、妻は野球はそんなに好きな方ではないが、応援するとすれば巨人ファンで、私が家で阪神戦を見るのが難しいのもそのへんの関係もなきにしもあらず。日曜日も、阪神が逆転されているのを見てがっかりしている私の横で妻は「やった」という感じにつぶやいていた(^-^;


 巨人は大企業バックでお金があるよね。一局テレビ局を独占して持っているから地方在住者はプロ野球と言えば巨人戦しか見られない、だから、地方の人たちはみな巨人ファンだったりする。また、選手の集め方も非常にお金がある集め方をしてきた。かの巨人の大投手、江川卓の事件は記憶に残っている人も多かろう。江川事件 - Wikipediaとしてまとめられているが・・・最後のドラフトでは阪神が指名を勝ち取ったにもかかわらず、巨人の強い要望で交換トレードにより巨人へ。江川本人たっての希望であったにしろ強引に巨人が大投手江川を持ち去った感があり、巨人と阪神の因縁がここにもある。


 まぁ、大阪に行って阪神電鉄に乗ってみるといい。なんかね・・・どうもお金がありそうな感じではないから。阪神電車はその名の通り、大阪と神戸を結んでいるわけであるが、海岸沿いを走るんだよね。


 首都圏でもそうだが、海岸沿いはやはり庶民的になってしまう。京浜工業地帯のあたりを走る海岸沿いの京浜急行も、一駅一駅なんかえもいわれぬ下町風情がある(私はそういうのがとても好きだが)。それが大阪の阪神電車沿線にあると思えばいい。ほら、同じ東京中心部と横浜を結ぶ線でも、東急東横線なんかは、屈指の高級住宅街たる田園調布を抱えて上品なイメージがあるのにくらべてということ。大阪だったら阪神電鉄に比して、内陸を走る阪急電鉄は大阪屈指の高級住宅街の芦屋を抱えていたりして上品な感がある。


 そんな阪神電鉄が母体の阪神タイガースと、テレビも新聞も持つ大メディアたる読売グループとを比すれば、イメージ的には勝敗明らかであるわけだが。


 だからね・・・そう、弱いからこそ、そして、こんな風に情けなく追いつかれてしまうからこそ、応援してあげたくなる心境が私にはあるんだ。


 人生、うまくばかりいかない。負けたって明日があるからと歯を食いしばってみたり、やけになりながらも、何となく言い訳してみたり。そんな人生を送ってきたからこそ、本当にいとおしく思える。そう、追いつかれてしまった阪神がね。


 いやね、阪神がものすごく好きだった幼少時はこんなに紆余曲折のある人生を送るとは思っていなかったよ。阪神が好きだったからこんな人生になってしまったのかもわからないけど。


 1985年、私が中学生だった頃、阪神は21年ぶりに優勝した。それからまた長い低迷期に入ったが、一瞬のスパーク。そして、最近はまた強い。それでも独走態勢から巨人に追いつかれるなんていう情けなさを発揮している今、なんかそれだからこそ、阪神がいとおしい。


 負けたっていい・・・がんばったよ、がんばっているよ、うんうん。


 今は本当にそう言えるだろう。あと10試合ちょっと。リーグ優勝できるかどうかは微妙だ。がんばって欲しいけど、これほどいとおしく阪神を感じたのは久々だ。そして、阪神の動きはほんとうに励ましを与えてくれるものだなとも思う。