今は亡き映画評論家、水野晴郎さんの決めゼリフのように「いやー、映画って本当にいいものですね」と見た直後に言いたくなる映画に出会えた時は幸せだ。特に映画館にまで出かけて見る映画であればなおさらだ。
というのも、デフレの影響、昔は2,000円近く映画を観るのにもかかっていた映画も各種サービスのもとよほど安く見られるようになってきたものの、それでも庶民派ランチ一回以上の金銭的コストをかけて、かつ、一応働きざかりで公私共に忙しくないわけでもない状況下でのお出かけという時間的コストをかけてまで、見に行く映画館での映画鑑賞には期待が大きいわけで、そこでがっかりするとがっかりというリスクを抱えながらドキドキしながら映画館に行くわけで、本当にいい映画だとそのリスクのドキドキ感を乗り越えたことからなおさら嬉しいわけで。
そんな意味で、今日、映画館に出かけて観た「マイレージ・マイライフ」というのは本当にいい映画で、それこそ水野晴郎さんの決めゼリフ、「いやー、映画って本当にいいものですね」という感覚そのものを感じたため、これが二人とかで出かけていたのであれば喫茶店で相手に感想を感動とともに語るところであろうが、あいにく今日はひとりで来ていたため、スタバでカプチーノとチョコレートチャンククッキーをお供にパソコンに向かって感想を書き連ねているところである。それくらい、心に響いた映画だったということ。
(以下ネタバレあり)
私があらすじ詳細を語るのは特に控えよう。というのも、これだけインターネットが普及した世の中、あらすじ詳細は至る所で知ることができるからだ。ちょっとググッてみればいい。だから、私の主観的感想を語ろう。
これはアメリカ映画なのだが、アメリカ映画にありがちな楽天的なストーリーかと思いがちなんだけど違った。だって、主演 ジョージ・クルーニーだったしさ(^-^)イメーj地役になんだかんだ言っても最後はハッピーになりそうに感じていた。
ジョージ・クルーニーはハリウッド映画の寵児とも言える存在だし。ハリウッド映画はアメリカ的資本主義の広告塔。アメリカ的資本主義の中では、リスクはあっても最後はハッピーという結末にしないとアメリカ的資本主義が論理的破綻をきたしてしまうからアメリカ的資本主義の発露たるハリウッド映画ではそうなりがちだというイメージ。
しかし、この映画は違ったねぇ。途中まではね・・・あぁ、主人公は仕事一辺倒の合理主義から人間主義に目覚めて、それはそれでハッピー♪って感じで、いやね、それで終わっても良かったくらいな感じ。それはそれでアメリカ資本主義の限界の指摘ということで、悪くない終わり方だし、そういう疑問符提示形式の映画も最近のはやりだから。あぁ、いいねぇなんて思っていたんだよね。
そしたら結末ではもうひとひねりあったんだよね。主人公は人間主義に戻ったのはいいけどそちらで大団円かと思いきやそちらでも挫折。人間主義に戻りながらも合理主義に戻らざるをえないというなかなかひねりの効いた結末で・・・これがあぁ、映画って本当にいいですよねぇと思った所以。こういう映画は本当にいい。ストーリーに趣向が凝らしてあってこそ映画が映画たる所以だと思うしね。
そんなわけで、これは本当にいい映画を観たと思ったのだ