今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

映画「東京干潟」の「シジミのおじいさん」に元気を頂いた

 先日、横浜シネマリンというミニシアターで「東京干潟」という映画を妻と一緒に見た。

higata.tokyo

 多摩川下流の干潟でシジミ取りをして、捨て猫を保護しつつ河川敷で生きるホームレスの老人を描いた映画。

 主人公の老人、「シジミのおじいさん」の独白とその行動を追ったドキュメンタリー映画

  以前ここでも語った、フィンランドの映画「サウナのあるところ」を妻と見た際に、予告編を見て、これは見なければと私も妻も思った次第。

 神奈川住まい長く、神奈川県と東京都を隔てる境界でもある多摩川への思いも大きく、また、今までの経験から貧困問題への関心がありそのドキュメンタリーとして見逃せないものと感じ、また、妻がネコ好きであったゆえ。

 横浜シネマリンでの公開初日である10月5日に見に行ったのだ。上映後、本作の監督である、村上 浩康さんの挨拶もあったから是非初日にと。

 なかなか興味深い映画であった。一人の「シジミのおじいさん」の独白、行動を見るだけでもいろいろ考えさせられるものであったからして。

 

 さて、台風19号が先の土曜日に関東を通過し、ことに降水量が多かったため、本作で描かれている多摩川も氾濫したというニュース映像も見て、また、濁流の映像を見て、河川敷に住んでいるという「シジミのおじいさん」を思わざるを得なかった。無事だろうか。繰り返し流される多摩川の濁流の映像を見るに心配せざるを得なかったのだ。

 関東では台風も落ち着いた昨日、インターネットで調べてみると、どうやら「シジミのおじいさん」が無事であることが分かった。この映画の村上監督のSNS上でのメッセージで書かれていたから。そして、村上監督が河川敷の小屋が被害を受けたため、「シジミのおじいさん」への物資援助を呼びかけていることを知った。

 村上監督の例示に従い、取るもとりあえず、今日の午前中に物資を持って「シジミのおじいさん」のところに行った。

 河川敷の小屋が水没したので、衣類とか毛布、布団など。あと、食料など。猫のエサもという例示であった。

 家で中古でも役に立ちそうなものを見繕い、今朝、お店が開く10時過ぎに出て買いだし。

 家にあった毛布、タオル、バスタオル、靴といった日用品。おじいさん向けに、パックごはん、缶入り100%ジュース、缶入りポタージュ、冷えたままでも食べられるレトルトカレー鯖缶という食料品を持っていった。高齢の方と言うことで、歯があまりないことを想定すると噛まずに済み、栄養のある保存の利くものをという意識での買い出しをした次第。

 11時過ぎに着いた頃、ちょうど「シジミのおじいさん」は前の方からキャットフードを受け取っていたので、その次に私と妻が、先述のものを渡したのだが、ことに毛布とかタオル、バスタオルといったものを喜んでくれたのが印象的で、「全部濡れてしまったから拭かないとねぇ」といったことを言っていたのが、本当に実感がこもって響いてきた。

 話を聞くに、今回の台風ではお友達からもう小屋から避難せよと言われて避難して、大丈夫だったとのことであった。また、猫も無事であったとのこと。

 映画で見ていた主人公のおじいさん、本当にそのままの語り口で、語っていただけたのがとても印象的であった。

 思わず私から聞いてしまった「ここで住み続けるんですか?」という問いに「元気なうちはね」と笑って応えるおじいさんに、逆に元気をもらった気がした。

 そうか、がんばって生きていこうとしている。私もがんばろうと。

 最後に写真をご一緒にとお願いしたら快く承諾してくれた。

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 「本当にお体お大事に」とお伝えし別れた。

 とても、とっても貴重な体験ができたと思った次第。

 呼びかけをしていただいた村上監督、そして、会っていただいた「シジミのおじいさん」、本当にありがとうございます。