今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

ホテル住まいと独身と〜淀川長治さんの生涯に思う〜

 先ほど書いた一語りでも言及した映画評論家だった今はなき淀川長治さんは、生涯最後の11年間をホテルで暮らしたとのことだ。

 昼間をぐったりとごろ寝しながら過ごしたので、エネルギーが溜まってきた夕方から横浜に出張って、お買い物をしたり。似合わないカフェ飯などを喰らいに行って入ったカフェにおいてあった雑誌「PEN 」(3/15号)の記事に載っていたのだ。
 「究極のダンディズム ホテルに暮らす」という企画ものの記事。

 最近の一語りを読んでいただいても分かると思うが、映画が3度の食事と同じくらい大好きな私にとっては淀川長治さんはすごく親しみを持てる人であるとともに尊敬する人でもある。
 そして、この記事で新たに分かったことがふたつある。ひとつは、最後の11年間を東京全日空ホテルで暮らしたということ、もうひとつは生涯独身を通したということ。

 その記事中、淀川長治さんの姪御さんに当たる淀川美代子さんが次のようなことを語っていた「訪ねていくとホテル暮らしを本当に楽しんでいるのが伝わってきました〜(中略)〜しかし、その裏には埋めようのない孤独もあったと思います」・・・なるほど、そうだろう・・・
 淀川長治さんがホテル暮らしを始めたのは78歳の頃・・・病院からの退院後一時的に逗留したこのホテルで暮らし始めたというのが始めらしいのだ。

 家に帰ったら本当に孤独だが、ホテルであればラウンジもあればボーイもいる。人の影に囲まれることはできる。そのことが78歳の老人であった淀川長治さんをホテル暮らしに誘ったということは容易に想像できるところだ。

 淀川長治さんは生涯現役で映画評論・解説家を通したとのことだ。だからこそ、ホテル住まいを続けられた。とてもかっこいい。

 僕も正直言うと、もう生涯独身かなと感じてきている。映画も大好きだし、でき得れば、淀川長治さんのように最後はホテル住まいというダンディズムを持ちたいものだ。そのためには、生涯現役の仕事か技を持って行かねばならないし、多少の稼ぎじゃなダメだろうが・・・だから夢なのかもしれないが

 振られてばかりで女の子と一緒になるのが至難に思えてきた今、これまた至難であるがかっこよく独身を全うする道も考えねばならない。
 そのベクトルにおいては淀川長治さんのホテル住まいの生涯は、一番理想と言える最高峰なのは確かだ。

 慣れないカフェ飯の雰囲気に当てられてやや現実離れしたことを夢想する私。でも、ここのパスタはうまかった・・・高いけどね。
 横浜にあるStyleというところ。
 でも、夜もアルコールなしでお茶して食事できるのは貴重だ。今後も一人で来るスポットとして重宝しそうだ(もちろんデートスポットとしても使えるのだろうが、あいにく僕にその機会はない)。