今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

男だからってこと

 男女同権とか、ワンオペ育児問題とか、男でも育休をとかの議論を見るに、まぁと複雑な心境にならないこともない。

 うちは子なし夫婦で中年だ。

 だからワンオペ育児と言われてもピンと来ないし、男性の育休もピンと来ない。

 ピンと来ないだけではなく、僻みも入らざるを得ない。子を持つ親は、その子(ら)に看取ってもらえる安心を得ながら、各種公的援助ももらえているわけだ、児童手当とかもね。

 それに比して、子なし夫婦は別にそういう援助があるわけでもなく、どちらが先に死ぬかで最後には一人になってしまうことは非常に怖い。だから、私と妻は「私がお先する」と言い合っていて、妻は断じて私よりお先すると言い張っている。結婚しようという段で妻は大病し、結婚できるのかという人生の困難に遭遇してしまった我々だから冗談ではなく本気で言い合っていることだ。

 そんな子なしは仕事をしていると、同僚は育休だ育児だで休んだりされるとあおりを受けて仕事がキツくなったり、そのあおりで異動できなかったりとかのあおり波を受けることがあるのだが。

 育児をしている子あり夫婦らは、確かに教育費だ、お迎えだで大変かもしれぬし、その子らは将来の私たち子なしも含めた年金を支えてくれる人材かもしれぬが、子あり夫婦はその子(ら)に見とってもらえる可能性が高いのに比して、子なし夫婦はどちらかが残される。残された者の最後は誰が看取ってくれるのだろう。結局、孤独死だよね。

 老年を控えた中年の私にとって、こうなると何が楽しくて生きていくのだろうと思う次第。これはヤケでも誇張でもなく、飾りを取った真に迫った本音である。

 だったらもう仕事なんてしたくない。だって苦しいことばかりだし、二十数年働いてきたけどいい加減にさぁというのも飾らぬ本音。

 妻と共働き状態のこともあったが、今は妻は専業主婦状態であるから、愚痴の多い私の話も受け止め、せめてもの慰めになるならばと、私が最近ハマっている釣りにも一生懸命付き合ってくれる。

 でも、愚痴がすぎて、辞めてもいい?と聞くと、ダメと言う。働いているだけでいいからと。

 どうしてそうなるのか。

 それは、私が正社員的な働き方をできていて、妻は大病の際に正社員的身分を捨てざるを得なかったから。

 妻の方がよほど好かれるし、人間関係も円滑にこなし、仕事はうまいのだが、私が働かざるを得ない。

 男だからって腕力が強いとかで優位性を主張する時代じゃないことは百も承知だ。

 でも男だからって、やらされていることに、やせ我慢があると思う。

 僕もやせ我慢だけはしてきたし強いられてきた。

 男の子でしょ?と親には言われ続けてきた。勉強とかでも女の子に負けるなんてという感じで女性である母親からでさえ言われた気もする。自然とやせ我慢をしてきたのだ。

 だから今もやせ我慢で仕事を続けている。

 そういう男は多いんじゃないかな。

 女性は、亭主元気で留守がいいなんて言えちゃうこともあったりするので、やせ我慢は男性優位かなあ。平均寿命でも女性の方が長いのはやせ我慢分だと思っている。

 だから冒頭述べたように男女同権とか、ワンオペ育児問題とか、男でも育休をとかの議論を見るに、まぁと複雑な心境になる次第。

 そのへんの機微を妻はわかっているのだろう。私のわがままもよく聞いてくれる。でも、人生はお先にということは譲ってくれない。

 君がいなくなったらどうやって生きればいいんだよ。