今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

二人で一緒のテレビ番組を楽しむことの難しさ ~NHK「のど自慢」を通して~

 昔の家族風景ではテレビの取り合いというのがあったと思う。主たる稼ぎ手たるお父さんがテレビの主導権を握っていて、好きな野球なんかを見ている。本当は歌番組が見たい娘・・・みたいな。さくらももこ さん描く ちびまる子ちゃん、とかで出てきた昭和の風景。

 もちろん私も1972生まれのゆえ、昭和世代のそういうテレビ一台時代の様相はよく分かる。

 今の若者は個室も与えられることも多く、テレビでなくても携帯で動画見るとかできるので、そういう争いもないのかも知れぬ。

 

 さて、まぁ、わが家は夫婦二人の家庭ゆえテレビは一台でいいよねとなっている、一時期は妻が持参したテレビと二つ体制のこともあったが、一台でいいでしょうということで長く来ている。

 

 特にチャンネル争いというのはないのだが、一緒に楽しんでくれる番組というのは限られている。

 たった二人の夫婦なんだから一緒に楽しみたいのは山々なのだが、互いに一個人であることも事実で、好みは違うのでそこは共通項はあっても、まったく一致することはないゆえ仕方ないことだろう。

 

 例えば、私はノンフィクションのドキュメントみたいなのが好きなのだが、妻はオフタイムにまでなぜつらい現実を見なければいけないのかということでほぼ一緒に見てくれない。

 

 私の大好きな「家、ついて行ってイイですか?」なんかも、なかなか一緒に見てくれない。なんか、この番組のおかげで、ビートルズの レット・イット・ビーの歌もなんだかちょっといやになったとか言い始める始末。

 日曜日の午後にやっている「ザ・ノンフィクション」に至っては、主題歌のサンサーラ、「生きて~る 生きて~いる~♪」が聞こえてくるなりあっちに行ってしまう始末。

 

 要するに、妻はオフタイムにバカみたいでも浮き世離れしていていいから楽しませてくれるものがいいよということらしい。

 

 なるほど。

 妻も私と楽しみたいと思うことはあるらしく、なんか面白そうだよとか映画とか録画しておいてくれて一緒に見たりするんだけど、上記の観点で選ぶものだから、おいおいこれ馬鹿馬鹿しすぎないかと私が「時間返せ」と憤慨する場合もあったりする。

 妻は「ごめん」とかなっているのだけど・・・

 

 そんなことで、一口に二人で楽しみたいと言ってもなかなかに難しいという次第。

 

 だから、本当に自分が見たい時は勝手に自分で見ているし、そんな時は妻は本を読んでいたり、なにか家事をしていたりする。

 

 50代になった近年は、日曜日の昼にNHKで放映されている「のど自慢」を見ていると落ち着く。なんか好きだ。

 もともと歌番組は好きで、特番とかで流れていれば延々見ているので、そのへんはそこまで歌好きではないであろう妻は適当に見守ってくれているわけだが。

 「のど自慢」も妻はさほど好きじゃなかろうと、私だけでぼーっと見ていることがあるんだがね。あと、この番組、NHKーFMでラジオでも流してくれているので、音声としては聞くことができて良い。

 

 そんな風にして「のど自慢」を見ていると、妻が視聴に参加してくることがあったする。あ、これは鐘鳴るでしょとか、これはだめでしょとかね。

 へぇ、興味あるんだとアプローチは少し違うかも知れないが、一緒に楽しめる番組が増えて良かったなぁとか思う最近。

 

 

 さて、先の8月7日に放映されたのど自慢。

 ここでねぇ、あれ?これは合格、鐘鳴るんじゃないの?と思ったのに鐘が鳴らなかった人がいた。

 20番の青春の影。チューリップの名曲だよね。長年連れ添った妻への思いもあって良いなぁと。でも鐘が鳴らなかった

 

 そう言えば、「のど自慢」、鐘の鳴らし方は裏で審査員が、これは合格でいいでしょうみたいにして鐘を鳴らす役の人に合図を送っているようだよね。

 

eiga.com

 映画「のど自慢」とか見ているとそのへんが出てきて面白いのだが、要するに、私も見ていて、ゲストの歌手の歌は少々難があっても合格の鐘が鳴りやすい気がするし、なんかエピソードが深くてという時も歌には難があっても鐘が鳴る気がする。

 

 妻は画面はあまり見ていないそうで、声だけ聞いて、合格の鐘が鳴る、鳴らないと評定しているとのこと。なるほど、私とは楽しみ方が違うね。私はそこにあるドキュメントを重視してしまいがちだから。

 

 件の20番の青春の影については、妻は合格の鐘が鳴らないのは仕方なしというところだったようだが、私は青春の影が好きだということもあり、また、37年間連れ添った妻への思いを歌ったというドラマ性を重んじて慣らして欲しかったと思ったのだが。

 

 ただ、最後まで見ていたら、ゲストの純烈さんが選ぶ特別賞に20番の青春の影を歌った方が選ばれていて、よかったなぁと思った次第。