これはとってもいい映画ですなぁ。
ディズニー映画と言いつつ、単純に子ども向けのアニメーションと思うなかれ、ストーリーが見事で、やや泣けた。
(以下、ネタばれあり)
要は、ヒーロー活動をしていて、そのヒーロー活動がもとで、訴訟を起こされ、ヒーロー活動を封じられてしまったヒーロー一家が主役なのだ。
スーパーヒーローとしての能力を持ちながら、それを発揮できずに呻吟とし、苦しんでいるお父さんであるMrインクレディブル。やはりスーパーヒロインとしての能力を持ちながら今の家族の生活を守るため能力を押さえつけようとしている夫人。能力を持ちながら発揮できずに自信を持てない子ども達という設定。
この設定にとても秀逸なものを感じたのだ。
このご時世、アメリカと言えど単純なドリームを語っていられないのが現実だ。昔の経済でも負けなしのアメリカで世界の警察としてのスーパーパワーを誇っていたアメリカであれば、単純に強い正義を語った「スーパーマン」などの映画でよかっただろう。
しかし、アメリカはベトナム戦争では敗れ、映画「ブラックホーク・ダウン」に描かれるようにアメリカの統治の象徴たる最新鋭ヘリも落とされるという、単純に強い右肩上がりのアメリカでは語れなくなっている現代・・・単純に強いスーパーヒーローを描いても現実から遊離しすぎてうそくさい。
その意味で、このような設定はとてもいい。そして、物語は泣き笑いで進んでいくいいストーリーだ。
そのヒーロー一家がある事件を家族の協力で克服していく過程において、どのように生きていていくか、自分たちのアイデンティティがどこにあるのかを悟っていくのだが、それが価値観が複雑化した現代社会でわれわれがどう生き抜くべきかということさえ示唆している映画とも言えるのだ。
なるほど、アニメ調ではあるし、ディズニー映画であるから子どもが見ても単純に楽しめるものでもあるのだが、大人的鑑賞にも堪えうる名画であるのだ。
あまりにも印象深かったので、グッズ買ってしまったよ。