今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

一気に読めた自叙伝で読書の効用を思う

 さて、みなさん読書をしていますかね。私は、パソコンはおろかファミコンも買い与えられず、しかして、本だけはたくさんあるところで育ったので、本しか読めない時期が長かったので、本を読むことはできるし、図書館が友だちとか言っていた時期もあるくらいで、乱読してきましたが、最近はあまり読んでいないのも事実。多くの勤め人が思うように、仕事があると乱読する時間はあまりないわけですね。
 そう、乱読するのが直接的にアウトプットにつながるという実感が持てないためだと思うんですね。その意味では、資格試験などは結構受けてきていますが、それらの問題集とか参考書とかはよく読んでいます。それは資格取得、資格試験合格というアウトプットががっちり実感として持てるため、ある意味好きであろうとなかろうとあれだけ読むわけですな。

 しかしね、私も勤め人を長く続けてきてますが、アウトプットを意識してばかりの知識吸収のための読書って、なんかむなしい感がありますね。そりゃ、ライフハック本とかにはアウトプットを意識して読書をとか書かれていそうですが、まぁ、そういう本をよく読んだりもしますが、自分の事前に設定したアウトプットに向けての読書はそこで知識なりの吸収が止まってしまうので広がりがないので面白くない。乱読を続けてきた私としては、乱読して、自分の想定外の記述に出会うことで自分の教養が広がってきたと思う次第である。

 まぁ、乱読は効率が悪いし、そんな暇があれば、専門書なり自分の専門を深めればよかったのに、そうしなかった私は今や大した人物にはなれていないことは大いに自負できるのだが、しかして、幅の広い知識・感覚を持つ人間にはなれているなという自負は多分にある。
 今や、私の好きな資格取得でも、予備校が大流行である。予備校で効率よく知識を習得し、受験に受かることに極大化した効率を求めることが特に難関と言われる資格には必要と思われていよう。まぁ、そうやって効率一辺倒で難関資格を持っている人がいたとして・・・負け惜しみであることは重々承知ながらも、あまり面白い人間とは思わせて頂けないのだなぁ。難関資格を持ちながら乱読を積み重ねて深みのある人になっている方も多くいるし、医者でありながら作家の方などは、まぁ、そういう感じかなぁとか思いつつ。最近は、どの学問も高度専門化が進み教養とか言っている暇はなくなってきたというのも当然承知だが。

 閑話休題

 そんな意味で、なんか最近乱読をしなければという思いもあり、なにかの書評か何かで見て興味を持って読んだのがこちらの自叙伝。

生きぞこない …… エリートビジネスマンの「どん底」からの脱出記

生きぞこない …… エリートビジネスマンの「どん底」からの脱出記

 「生きぞこない エリートビジネスマンの「どん底」からの脱出記」北嶋一郎 著 という本を読んだ次第。
 バブル時代に大企業に入り、非常に高い年収をもらい、バブル的な物欲や消費をしてきながらも、精神疾患を病み、どん底に落ちましたということを書かれている自叙伝で、これはかなり面白く一気に読ませていただいた次第。
 基本的には文筆家ではないと言う意味で素人の方が書かれた自叙伝で、バブルというものの残滓の後始末しか知らない世代の私などにとっては、ちょっと腹立たしくも思える内容かもしれないが、だからこそ面白いかなと思えた。
 プロの文筆家が作ったフィクションのドラマもそりゃ計算高く練られたストーリーで感動するのもありだが、ノンフィクションで素人の方の自叙伝こそ、読み物としては興味深いところ満載である。事実は小説より奇なりというところだろうか。