今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

高齢者を買物弱者と無条件に定義することへの違和感 ~コロナ禍におけるマスク購入行動に関して~

『“買い物弱者”限定で入店できる時間設ける 大型スーパー』というニュースへの違和感

www3.nhk.or.jp と報じられた。
 この記事に強烈な違和感を覚えた。というのも、このニュースで指す大型スーパーの今回設けた措置が、「65歳以上およびお身体が不自由なお客様を対象とした特別営業時間」として「火曜日と金曜日の朝8時から朝9時45分」の開店時間を設けたということ。ニュースでは高齢者に主にフォーカスを当てて報道されていた。

 私の感じた違和感は、果たして、65歳以上の高齢者を買い物弱者としてとらえていいのだろうかという点。

 その違和感を説明するために買い物弱者の定義を調べてみた。

買い物弱者の定義

 買い物弱者とは「買物弱者」として政府の研究・調査に出てくる言葉である。
 政府の中でも、経済産業省農林水産省がこの言葉を持って調査・研究している事例がある。

経済産業省では
『買物弱者とは「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々」を指す。』
買物弱者等に関する報告書(要約抜粋版) 経済産業省平成26年度)から引用
と定義している。
買物弱者対策支援について(METI/経済産業省) 参照

農林水産省では
『高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)』
食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト:農林水産省  より引用
と定義している。

 なるほど、農林水産省の定義によれば、高齢者を中心にと言っているよね。
 経済産業省の問題意識からも高齢者は一体不可分に思える。というのも、流通機能の弱体化とは、大型ショッピングモールなどができて地元商店街がなくなってそういうモールに車で移動できない人が買物に困難を感じるという状況が想定されていると思われるので、それは高齢者が想定されているようだ。報告書の要約版を斜め読みしても、買物弱者の推定数の計算式を見たりしていると、60歳以上の高齢者を買物弱者の前提としているのが分かる。

高齢者は買物弱者か?

 さて、買物弱者の定義は分かった。高齢者を想定しているのだ。だから、先のNHKのニュースでも朝の2時間弱を高齢者と身体が不自由な方限定にした大型スーパーの措置をいわゆる「買い物弱者」のための・・・と題したのだろう。

 私は、身体が不自由な方が買物弱者であることにはまったく違和感がない。それは当然であり自明のことと思う。

 しかして、65歳以上の高齢者が無条件に買物弱者として、このニュースの題名のように扱われているのは違和感を禁じ得ない。

 2020年1月から騒ぎになっているコロナウイルス問題が大きく影響しているのだ。
 それ以前なら、高齢者が買物弱者も当然と思えていた。買物弱者問題が、先に述べた大型ショッピングモールなどができて地元商店街がなくなってそういうモールに車で移動できない人が買物に困難を感じるという状況が想定されていて、地元のシャッター通りが増えて、困った高齢者。高低のある土地においては足腰が弱り買物に行けない高齢者の買物支援をしたりする活動や、移動販売車について報道されていたりすると、なるほどなぁと思っていたりした。
 ただ、昨今のコロナウイルス問題で、マスクの買い占めが起こり消費者市場からマスクが消えたり、その後、トイレットペーパー・ティッシュペーパーなどの紙類がなくなったりしたところで考えが変わってきた。
 必要な量のマスクが買えていないといういらだちもあるのだが、調べてみて見えてくる高齢者の購買行動に買物弱者と無条件に高齢者を定義するのに躊躇が出てきたのだ。

 マスクの市場からの消え去り方は本当に早かった。気づいたときには少し買えただけで、あとは今に至るまでほぼ買えていない。
 わずかに市場に出るマスクもあっという間に買われているらしい。
 昨今は私と妻はフルタイム共働き状態、マスクのために動くことはできない。夕夜にはマスクは手に入れられない状態だ。

 そこで、高齢者を中心にマスクの購買行動がいろいろ報告されている。それを調べてみた。

高齢者層のマスクの購買行動

this.kiji.is

 こちらのニュースから引用すると・・・
『ドラッグストアで働く神奈川県の40代女性は、「最近のお年寄りはスマホも使いこなすので、マスクの情報をメールグループで共有しています」と明かす。』とのこと。ドラッグストアに高齢者が集まってきて盛り上がって並んでいるとのことだ。
 さらに引用すると、従業員の誰かが漏らしてしまった情報に人が集まってきてしまった状況で・・・ドラックストア勤務の20代の言として『この長蛇の列に、「毎日並んでいる人が驚き、『若いやつは感染しても大丈夫なんだから!マスクは全部年配者に渡せ!』と言ってきました」という。』・・・要は毎日繰り返し並んでいる高齢者らしき人が、このような言をしたということだろう。

 このキャリコネニュースは勤務している人からの実体験に基づく声を集めたもののようだから、なるほど、こういう生々しい声も集まるのだなと納得はしたが・・・。

 

www.j-cast.com

(2/2)ドラッグストアに警察出動も マスク「なぜ売らないのか」と詰め寄る客...トラブル続出: J-CAST ニュース

 こちらのニュースからの引用で・・・
『「朝の6時から某薬局に並び開店でマスクを買い、翌日も、その翌日も並んで買うご年配の強者が」(原文ママ)』
 というマスクを買えない人からの不満の声を紹介しており、なるほど、ここでも高齢者の購買行動が見える気がします。

 

www.bengo4.com

  こちらの記事からの引用ですが・・・
 『SNSでは、「男性が1日中、店内をうろうろしてマスクの販売を待っている」「駐車場で家族連れが待機していて、車が停められない」といった声をはじめ、中には「高齢者のグループが店内待機を禁止されたため、1人を店内に残して他のメンバーは近くの喫茶店に待機している」などの情報も報告されている。』
 と記事にされており、SNS内の情報とのことだから、Twitterなりに漏らされた情報から、高齢者がグループになって高齢者グループがマスク販売に関わっている状況が分かるし、薬局側も待機客の存在は把握しているとのことだ。

 以上のことから、高齢者が基本的に日中働いている勤労者層ができない行動でマスク獲得に奔走できている状況が分かってくる。

 

高齢者を無条件に買物弱者とすることへの違和感

 上記の高齢者層のマスク購買行動を見るに、高齢者層を無条件に買い物弱者とすることへの違和感は言わずと分かって頂けているだろう。
 そもそも、勤労者年代は昼間や早朝から購買行動を取れない。だから、私もずーっとマスクを探しているけれどもほとんど買えないのだ。妻も同様だ。働いているから。
 その中で、繰り返し朝から並びマスクを買い占める高齢者、買えないと暴言を投げつける高齢者、徒党を組んでマスク購入に走る高齢者という行動を見るに、とても買物弱者とは言えないのではないか。
 勤労者世代は時間が自由にならない。高齢者層は多くは引退後という時間的自由を武器に、マスク購入という点では勤労者世代より圧倒的優位に立っている。その意味では、高齢者層は買物弱者では到底ありえない。

 経済産業省の定義による「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々」という定義では、近所の商店街がつぶれてしまって、大型モールに車で行けない高齢者という想定からは高齢者が買物弱者であることは異論はないし、体力的衰えから坂道の多い場所で、車が使えない高齢者が弱者になることも異論はない。

 ただ、流通量がきわめて少ないマスクの購入といった事例の場合は、一般的な移動の困難よりも時間的自由のナサという困難が大きく関わってくるので、高齢者が優位に立つ。だから、今、日本国民に渇望されているマスクに関しては高齢者が圧倒的に優位に立っていて、弱者どころか強者なのである。

 そこに大いなる違和感の理由がある。

 また、引用したニュースに多く見られる、高齢者の横暴とも言えるマスク購買態度にも弱々しい弱者の態度とは言えないという思いも強い。

 さて、高齢者の横暴について、私が生涯の趣味となりつつある釣りでもあったので、次にそれを語ろう。

釣りにおける高齢者の横暴

 釣りというのは場所が重要である。人気釣り場の中でも釣れやすい場所というのはある。
そこには、必ずと言って良いほど、常連の高齢者層がいる。勤労者層は平日は仕事なので、なかなか毎日は来れないのだが、時間的自由が圧倒的に多い高齢者層は毎日のように来られているので、仲良くなり、グループになり、場所取りもしてしまうのである。
 勤労者層は常連高齢者層に取り入って場所に入れてもらうか、あまり釣れない場所で我慢するか、常連を出し抜くために夜討ち朝駆けで行く必要がある。

 高齢者層の横暴は、公共の場所でも、いつもいる場所を自分たちの場所と主張することである。
 うっかりその場所に入ってしまうといやな顔をされたり、ひどいとあっち行けというようなことを言われたり、非常に気分が良くない。なんら、権利もないのに、毎日来ているからということだろうか、権利めいたことを主張してくるようである。

 これは前記のマスク購買行動のグループになってマスクを買いに来る高齢者の動きによく似ていて気分が悪い。また、前記の繰り返しになるが、毎日のようにマスクを買いに来ていて、情報が漏れて人が多くなったら、「若い者は高齢者にマスクを譲れ」と言い放ったという高齢者の横暴さに通じるものがあろう。

 かように、高齢者だから無条件に許される・・・それはないんじゃないかと思ったりもした。