今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

人生のスタートラインが違っていたんだよね 〜夜の散歩で思ったこと〜

 昨日は、すぐには寝られないなあと思ったので、まぁ夜の散歩に出かけたわけだ。散歩というのは一見消極的なものだと思われがちだが、有酸素運動としての見地からは、たしかに消極的かもしれないが(エアロビなどをしてたほうがよほどいいのだろう)、街を歩いている中でいろいろな発見があって興味深い点が多い。
 まぁ、発見といっても不景気が遷延している、昨今においては、いい発見でないことが多い。

 あそこの古い家が取り壊されて大きなマンションになっているとか、行きつけの店がつぶれたとかそんなことが多かったりするからだ。
 新しいマンションが建っても面白みはさほどない。別に、そこに住めるわけでもないのである。何千万もかかる買い物を気楽にはできない。

 散歩の途中、ある店がなくなってしまうのを発見したのだが、そこを立て替えて高層のマンションなりアパートなりの集合住宅として生まれ変わることを知りホッとしたのだが 、そこで想像されるのが、結局、そのお店が持ち家物件であり、その店の利益だけよりは、高層化して賃貸収入を得る方が得だという計算が見えてきてちょっと複雑な気分になった。
 結局、戦後まもなく、もののない時代から裸一貫で身を起こせた時代は終わり、そもそもにして、そういう不動産なりの初めからのアドバンテージがなければ、生き抜いていけなくなっているような感も受けてしまうわけだ。
 お金なんかなくてもいい、普通に暮らせればという願いを持つ方も多かろうが、それこそ手に届かぬ夢なんではなかろうか。
 そう、僕なんかが生まれた時代は、その親の世代はがんばればなんとかなる時代であったかもしれないが、 そう教わって受験戦争を切り抜け、バブルの終わった不景気の世に就職した僕の世代なんかは、やはり、スタートラインが違っていたんだよねと思わざるを得ない。冷徹な計算をすれば、勉強してがんばっても、初めからそういう財産があるかないかがフェータルな要素になってくるんだから。
 夜の散歩をしていてもそんなことを感じる今日この頃であった次第で。