若かりし頃、「この子はちょっとするとどっか行っちゃうんだから」といった旨だったと思うが、上司から言われたことを思い出す。
元来旅好きで、少し連休があると休暇もつけて旅に出てしまっていた。そんな私を指して暖かく見守ってくれたからこそかように言ってくれたと思う。
そう、実際、北海道や宮城県に住んだりして、その周辺も結構見たし、毎年のように甲子園高校野球を見に行っていた時期もある。かの小説「城の崎にて」のちを訪ねて城崎温泉に行ったのもいい思い出だ。日本海側つながりでは、松本清張さんの小説の舞台を訪ねて、金沢に行ったり、福岡に行ったり。ゼロの焦点とか点と線の舞台だよね。
本州北海道九州は分かったから、四国は?という点では、好きな球団、阪神タイガースの安芸キャンプを見に高知へ深夜バスに乗ったのもいい思い出だ。そして、高知市内の桂浜、そして有名な室戸岬にも足を運んだ。夏目漱石の坊ちゃんゆかりの地、道後温泉もよかったなぁ。
そして最近は、千葉の房総には頻繁に出かけているのはここで語ってきておるとおりである
さて、ここまで語ってきて気づく方もあろう、なぜに今や国内の一大リゾート地であり、旅好きならいの一番に行っていてもおかしくない沖縄の名が出てきていないことを。
そう、人生四十路の今の今まで沖縄に来たことがなかったのだ。
いろいろな理由がある。比較的天邪鬼な私は、あまりメジャーラインには行きたがらない。その意味で沖縄はあまりにメジャー観光スポットすぎたということ。前述のように、小説の舞台等を巡るという動機付けが多い私としては沖縄のあまりに悲惨であった太平洋戦争での沖縄戦を知れば知るほどつらかったのもあるかもしれない。
最も大きいことはお金がかかることかもしれない。私の旅は、青春18切符による普通電車での移動、夜行バスでの移動ということが多くなりがちであったから、陸続きの地が多くなったのだ。
しかして、そう、四十路である、生きているうちに沖縄には行こう。そう始めてとうとう沖縄に来た。
かような動機付けだから、沖縄に来たことで目的達成なのである。
沖縄にすでに行っている若い人達から.沖縄いいですね、何するんですか?と問われてもうまく言えないのも道理なのだ。沖縄の地を踏むことだけが目的ゆえ。
とまれ、妻と共にかように旅できることは幸せ。私の愛する映画「寅さん」シリーズでも、寅さんが、沖縄の水族館に行っているシーンも思い出される。急速に予習した次第だがせっかくなので、沖縄を楽しもうと思うよ。