私は魚を捌く。
そりゃ、釣りをしているからでしょう?
否である。
当初は魚を捌くことに興味を持って、妻と結婚してからかな、アジやタイ、ブリの幼魚たるイナダ、ハマチなど手に入りやすい鮮魚を仕入れては捌く練習をしたものだ。
アジなんかは本当にいい練習になる。
なぜ魚捌きを身につけようかとしたかと言うと、私は刺身が好きなんだよね。柵取られた刺身はえらい高い。
結婚前は夜遅く刺身売り場に行って半額シールのものを買い漁るということもしていたし、それは今もするが、鮮魚から自分んで捌くと手間賃は自分ということでやはり格安に刺身が食べられるから。
結婚当初、15年くらい前が一番乗りに乗って捌いていた頃で、前述のアジ、タイ、ブリの幼魚に加え、当時はたくさん採れて安かったサンマなんかも刺身にして妻と一緒に食べていた。
また、魚類ではないが、仙台に住んでいて見知っていたホヤ、棘皮動物となるのだが、を刺身に取ったりして、楽しんでいた。妻も付き合って一緒に楽しんで食べてくれていた。
その話を聞いた妻の実家の母が、私がナマモノをバンバン捌いて娘に食べさせていると知るや大丈夫かしら?と心配したとか聞いた。
ま、たしかにアニサキスとかの知識もあまりなかったところでガンガン捌いていたのは若さゆえの勢いか。
その後6年くらい前から釣りを始めて、否応なく捌くようになってきた。だって釣ったものは責任持ってたべなくてはね。それまで鍛えてきた腕もあるし、鋼の魚捌き用の包丁も手に入れ、砥石で定期的に研ぐようになった。
小魚類はかなりの種類を捌いてきたね。イワシ類は小さいので手開きだし、アジも数限りなく釣ってきて、経験値はぐんぐん上がった。昨年はカサゴなんていう高級魚も刺身に取ったりしたし、そういえば太刀魚なんかも捌いたなぁ。釣りをしていると、稀にもらえることがある。マゴチなんて自分じゃ釣ることができない魚もいただいて刺身に取ったりね。今はハゼが多いな。これも新鮮なうちに捌くと刺身にできるし。高級魚カワハギを妻が釣り上げたので刺身のしたことだってある。
こうやって語ってくると、私は刺身を食べたいがために釣りを始めたようにも思えるかもしれないが、そうではない。
アニサキスとかが怖くて生では食べないサバとかも釣れれば嬉しいし食べる。だから、刺身を食べたいから釣りを始めたわけではないんだろう。釣りを始めて釣れた魚を捌いて、腕は上がるし、刺身も食べられたってこと。
しかし、これだけ沿岸魚を捌いてきてもあまり縁がなかった魚。それがタラ。
マダラってでかいよね、そんなの釣れるわけないし、あまり興味がなかったから買うこともなかった。
しかし、最近スコッチウイスキーを飲んだりして、イギリスやアイルランドのパブの定番つまみはフィッシュ&チップスだよね。フィッシュはタラなんだよね。
それで興味を持っていたところで、この正月はかまぼこを自作したんだが、生ダラの切り身を買ってきてすり身にしてかまぼこにしたりした。初めてタラを捌いたというか、切り身だけど骨を削ぐとかの処理をした。
先日、横浜中央卸売市場本場に行った時、タラがえらく安く手に入った。
これだけあって、1,080円だから安いと思う。ただアラの部分も身の部分も混ざっているからそれを今までの捌きの経験から峻別する手間はかかる。
アラ
身
身は骨が一本も残らぬように。この辺は小魚、アジとかで鍛えているからできるよね。魚の基本は体でわかっているからそれが大きくなったようなものだから。
身は骨一本もないのでここからはサバとかでフィッシュ&チップスを作っていた経験が生きてくる。
本当に本場のフィッシュ&チップスができちゃったんだ。
タラって美味いのね。イギリス人も美味いもの食ってんじゃんとか酔いながら思ってしまったよ。
アラは味噌汁の出汁にしたり。
だから、魚捌きってできると人生が広がる感じだ。この年になってタラのうまさに目覚められるのって魚捌きしていたからとも言えるわけだしね。