さて、今年の3月に鋼の日本剃刀を手に入れて、以来それでヒゲを剃り続けている
やはり一枚刃の刃物であるゆえ、全て自分で決めて刃先を入れることができるのと引き替えに、それなりに肌を切ってしまう危険はあり、何度も生傷を付けてきた。
しかし、そうやって慣れていくことによりだいぶうまく剃れるようになってきたんではないかと思っている。
「剃刀日記」という本を見つけたので図書館で借りてみた。
床屋さんであり俳人でもある著者の短編集。仕事も忙しく全てが読めたわけでもないのだが、なかなか印象的な話が多かった気がする。
短編の中の一編、「転業半蔵」という話もその一つだ。
家業の床屋を廃業して勤め人になったが、剃刀はうまく剃れても、勤め人仕事には慣れぬ。勤め先の若いのに馬鹿にされて・・・という勤め人の私にはすごく響く一編であった。
私は勤めは長くしてきているが、床屋という職人の領域たる鋼の日本剃刀というものに手を出してみた。床屋さんからすれば危なっかしくて仕方ない手捌きだろうが、なんとかやってみている。すべては自己責任だが。
刃を操って剃るのは気持ちいいものだ。なるべく少ないストロークでいきたいものだ。肌を荒れさせぬためには入射角を浅くしたい。しかしそれだとヒゲの引っかかりが少ないから剃れぬ。そのような試行錯誤を続けている。
自分の肌だから傷つけようが自己責任で済むが、他人の肌に刃を当てるとなれば責任は重大になろう。そこには職人としての厳しさがあろう。勤め人には分からぬ苦労があろう。
そんなことに思いを馳せながら自分の肌を練習台に職人技を真似しようとしている。そんな次第。
今週のお題「上半期ふりかえり」