厚生労働省が、来年度の労働法制見直しの最終案を出したとのこと。
「残業代ゼロ労働導入」というような見出しが各新聞誌上に踊ったわけで結構ご存じの方も多いだろう。
一定基準を満たした会社員が1日8時間の労働時間機制からはずれ残業代を払う必要がなくなる「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」が盛り込まれたことが問題になっているわけだ。
サービス残業や、残業代かわしの管理職昇進、フレックスタイム制や変形労働時間制の美名の元での残業代ゼロということが昨今の不況において常態化してきたから、なんなら法制度もそれに合わせてしまおうとでも言うのだろうか。
なんだかなぁと思う。
まるで、今までは軍隊ではないけれど自衛隊がここまで大きくなり、実質的な軍隊の様相を呈してきたから、憲法も変えて自衛軍を創設しましょうといった、先頃から問題になっている改憲議論に似た乱暴さがあるんじゃないだろうか。
9条があるから、踏みとどまっている部分がある。
同じように、労働基準法があるから、前記のような残業代回避策をする経営者にある種の罪悪感を与えて、労働者への圧迫がある程度で踏みとどまっている部分があるのだろう。
年収が400万円、700万円・・どちらかを基準に、残業代ゼロにしようという議論になってきている「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」・・これが通ってしまったら、踏みとどまる部分がなくなってしまうのではないだろうか・・・。
景気が回復しなければしょうがないだろう、そんな景気回復の美名の元に、強行されるのだろうか。
景気が良くなってだれが喜んでいるのだろうか。いざなぎ越えの好景気といわれるのがまさに今なのだが、誰が豊かになっていると感じているのだろう?みなさんはどうだろうか?
一部のアッパークラスだけではないだろうか、セレブと言われて、超高級な世界に住む人は確かに増えたかもしれない。
六本木ヒルズを見て・・・これは現代のバベルの塔ではないか・・そんな不自然さを感じたのを昨日のように思い出す。高いところは大好きで、必ず登る私が、ヒルズだけは登っていないのは・・・一語り「ヒルズに思う」に語ったとおりだ。
2割のアッパークラスが8割の富を独占し、8割のロウアークラスが2割の富を奪い合う。パレートの法則はここでも成り立ってしまうのだろうか。
それを防ぐための労働法制ではないのだろうか・・・
理想論でもいい・・・憲法9条に言う平和論が高すぎる理想であったとしてもそれを宣言していることでそこに近づけるのではないだろうか。
だから、労働法制も、高らかに、働かせすぎないこと・・その当たり前のことを謳っていて欲しいのだ。
景気回復の美名の元に富んだ者をますます富ませ、貧しい者をますます貧しく追い込んでいくことが本当に景気回復につながるのだろうか。
大東亜共栄圏という美名の元に戦争に突っ走った戦前を思わせる感もある。
労働法制は理想を堅持してほしいものだ。